【書を使う】マンガでわかる行動経済学 いつも同じ店で食事をしてしまうのは?なぜギャンブラーは自信満々なのか? ポーポーポロダクション著
マンガでわかる行動経済学 いつも同じ店で食事をしてしまうのは?なぜギャンブラーは自信満々なのか? ポーポーポロダクション著
序章は、「行動経済学とは何か」「なぜ行動経済学を学ばなくてはならないのか」について書かれていました。
人の認知をゆがめるバイアスについて知ることで、それを経済活動に役立てることができるとのことです。
ひととおり読みましたが、本当に全部のページに付箋を貼ってしまいそうになるくらい、面白かったです。
その中でも、今後の仕事に役立ちそうな箇所、驚きが大きかった箇所、考えさせられた箇所について感想を書いていきます。
よろしくお願いします。
■通販は○色展開で売れ!
〇の部分に入るのは「5」。
家電などを売るときには、5色展開で売るのが正しいようです。
売れない色があってもよくて、消費者に選ばせるということが大切らしいですね。
商品の選択なら自分事にならないが、色の選択だったら自分事になるというイメージでしょうか。
「Aの要素」は共感してもらえないかもしれないが、みんなが理解できる「Bの要素」で共感してもらい自分事だと思ってもらうことで、最終的には「Aの要素」にも興味を持ってもらう。
文章でいうと、冒頭文で皆が知っている話題を出して共感してもらい、完読してもらうようなものなのかなと思いました。
■女性の顔があるとお金が集まる
ローン会社が、顧客にいろいろ案内を送る中で試行錯誤した結果、一番顕著に差が出たのが、男性社員の顔写真を女性社員のものに差し替えたときだったとのことです。
女性の顔写真を用いた場合は、利率が5%高くても申し込みたいという方がいたそうで、かなりの差だなと驚きました。
今までも女性のイラストの方が、いい印象を与えられるということは聞いていたのですが、ここまで数値でハッキリと差が出てくるとは・・・。
- 安心感
- 優しい印象
- やわらかな印象
おそらく、このような印象を与えられるのでしょう。
今回はローン会社が例に挙げられていましたが、お客さまが不安をもって来店するようなお店や、はじめてのお客さまが多い業界では有効かもしれないなと思いました。
■市場規範と社会規範(お金で規範は解決できるのか?)
- 市場規範…金銭的なつながりを基にした価値判断
- 社会規範…社会的なつながりを基にした価値判断
この章は読んでいて、最近の炎上案件を思い出しました。
これは「1回で100円分」という市場規範に基づいた報酬を用意したからだと、今は思います。
- 時給100円すらないのか!
- ほとんどただ働きじゃないか!
このような批判が青森市に寄せられたのは、100円分のポイントという金銭に近い報酬を用意したことにより、市場規範で判断されてしまったからかもしれません。
書籍に「インセンティブが低いと逆効果」だと書いてありましたが、本当にその状態です。
たとえば、「雪かきをしてくれた家の、おばあちゃんが感謝の言葉と一緒に渡してくれる100円の缶コーヒー」だったら社会規範で判断されるので、こんなことにはならなかっただろうなと思います。
今後、自分が誰かに報酬を用意することがあるかはわからないですけど、気に留めておきたいです。
■アンカリング効果(最初に提示された数字の影響を受ける)
アンカリング効果とは、最初に提示した価格や情報が消費者の購買判断に影響を与えること。
たとえば「普段は5万円ですけど、今だけ特別に2万円!」というと、最初の5万円という価格のせいで2万円が安く見える。
僕はこの章を読んでいて、テレビショッピングを思い出しました。
やはりテレビショッピングは、いろいろなノウハウがあるなとあらためて思います。
ジャパネットたかた創業者の高田さんの書籍はおもしろいと噂なので、近いうちに読んでみます。
■フレーミング効果(数字は見せ方で判断基準が変わる)
フレーミング効果を簡単に説明すると、以下のAもBも同じことを言っているけど、「失敗って言葉を使わず、成功と言っているBの方が印象がいいよね」という話です。
A.100人中10人が失敗する手術
B.100人中90人が成功する手術
この話自体を取り上げたいのではなくて、フレーミングのトラップに引っかからないタイプの人がいるという話が、面白かったのでご紹介します。
フレーミングのトラップに引っかかりにくい人は、脳の恐怖や不安や嫌悪をつかさどる部分がよく動いているそうです。
つまり認知した情報を、不安を感じて恐れながらも感情をコントロールして処理できている人が、フレーミングのトラップに引っかかりにくいということでした。
「100人中10人が失敗する手術」と「100人中90人が成功する手術」。
先ほどは簡単に書きましたが、自分が当事者だとしたら、どちらかを選べと言われても、多分冷静に判断できないと思います。
実際に、物事を選択するのには恐さがともないますが、その時が来たら冷静に判断できたらいいなと思いました。
■デフォルトの効果(初期設定をオススメだと思ってしまう)
「選択肢が多すぎると、選択しないという選択肢を取るようになる」という話です。
他の章に出てくる「松竹梅の中から竹を選んでしまう心理」と一緒によく使われていると思います。
正直にいうと、僕はどれを選んでいいかわからないときは、初期設定やオススメを選んでしまうので、これは企業の戦略だったのか・・・と驚きました。
企業側の立場で考えると、プランなどを提示する場合には、初期設定やオススメを積極的に出して行く方がいいのだろうと思いました。
顧客が迷ったときに受け皿(初期設定やオススメ)となるものがないと、買わないという選択肢が生まれてしまうので、それを防ぐ意味でもやるべきだなと思いました。
最後に
全編を通じて、とてもわかりやすかったです。
文字数が多くなってしまったので割愛しましたが、オランダの宝くじの話がとても面白く、よくこんなの思いついたな!と思いました。
ギャンブラーの心理について書かれた4章も面白かったので、ぜひ読んでみてください。
オススメです。
マンガでわかる行動経済学 いつも同じ店で食事をしてしまうのは?なぜギャンブラーは自信満々なのか? (サイエンス・アイ新書)
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